伊豆半島弾丸ツアー

先日他の部署の先輩2人に誘われ飲みに行ってきました。焼肉とスナックのハシゴというなんとも社会人らしい飲みで、焼肉はおいしく、スナックの女の子は優しくて綺麗で、焼酎をメインに終始ご機嫌な飲み会でした。

しかし、僕らは社会人です。何があろうと次の日もきちんと会社に行かなければならない宿命です。なので、終電の1時間前に解散したのでした。しかしです、僕はといえば帰りの電車で寝過ごしてしまい、気づいたらそこは沼津駅でした。沼津駅といえば僕の住んでいる駅から1時間半も離れたところです。もはや神奈川県ですらない。僕が電車の中で爆睡している間に、電車は湘南海岸を横断し、伊豆半島を突き抜けていたのでした。もちろん折り返しの電車などとっくに終わっていました。正直やっちまったと思ったのでした。

仕方なく駅前のアーケードのようなところでホームレスのおじさんたちの横で寝ました。一人で寝るよりこの方が安全なのです。育ちのよくない僕はビジネスホテルとかそういう選択肢はハナからありませんでした。家に帰るのは諦めてそのまま始発で会社に直行しようと思ったのです。そのときはまだ次の日もきちんと会社に行くつもりでいました。そうして朝になると、なんとか起きれましたがどうも酒が抜けず、寝ぼけてるんだか酔っ払ってるんだかわからない状態で早朝の電車に乗りました。これでなんとか会社には間にあいそうだと安心し、暖房で暖かい車内でウトウトしてしまいました。しかし、目が覚めるとおかしなことに、ホントにおかしなことに、そこは静岡駅でした。一瞬何がなんだかわかりませんでしたが、どうやら反対の電車に乗ってしまったみたいなのでした。会社は遠ざかるばかりでした。冷静になって考えるともう会社に間に合わない状態でした。ここでついに会社に行くのは諦めてしまいました。

入社して8ヶ月。これまで自分でも驚くほど無遅刻・無欠席で勤めてまいりました。この日ついにずる休み。もともと僕はだらしないタイプの人間なのです。むしろいままで良くやってきたじゃないかと思いながら、とりあえず今日はなんて言い訳して休もうかと途方に暮れているそのときでした。

神は僕を見捨てなかったのです。静岡駅の電光掲示板に映し出された予想外の単語。不幸中の幸い。まさに僥倖。そう、電光掲示板に映っていた文字とは、新幹線!

静岡駅といえば新幹線が開通しているのです。もはや新幹線を使う程遠くまで来てきていたのです。新幹線ならまだ間に合うかもしれない。間に合わないかもしれないけど間に合うかもしれない。賭けてみる価値はある。新幹線を活用した場合の会社までの所要時間をケータイで検索する時間さえもったいなく、新幹線のスピードを信じて迷わず乗り込みました。人生初の新幹線通勤でした。出張でもないのに新幹線通勤です。新幹線で会社に通うだなんて、まるでやり手のサラリーマンのようですが、今回は完全なプライベートなのでもちろん旅費はでません。

タクシーも使ってなんとかギリギリ間に合いました。二日酔いで仕事にならなかったけどその日はたまたまボーナスの支給日で、最悪と最高の入り混じった不思議と生きてる実感のする1日でした。会社で何を成すか以前に会社までいかにたどり着くかで必死です。