コーヒー&シガレッツ

コーヒー&シガレッツ [DVD]

コーヒー&シガレッツ [DVD]

カッコイイったらありゃしない。そこそこに映画をみまくってる思春期の少年がなにかのふしにこの映画を見たとあらば間違いなく部屋にポスターなんぞを張っちゃいかねないそんなファッションムービーである。しかも監督はジム・ジャームッシュで、出演俳優はスティーブ・ブシェミを筆頭に老若男女クセのある俳優やミュージシャンのオンパレードである。みんなとは違うものを嗜好したいと思う思春期のカブレ野郎には充分すぎるほどファッショナブルな要素が溢れんばかりに散りばめられている。24歳となった僕もジム・ジャームッシュの偉大さを今更ながら崇め奉りたいと思ったほどである。

コーヒー飲んでタバコ吸いながらおしゃべりする10分程度のこの上なくシンプル短編が11個集まっただけのオムニバス映画で、これといった気の利いたセリフも無ければ、ドラマチックな会話もないのだけど、味わい深い雰囲気に思わず引き込まれるというか、「最近なんか面白い映画なんかあった??」な〜んて女の子に聞かれた日には、「そうだな、最近のハリウッド映画には飽き飽きだからね、あえて言うならコーヒー&シガレッツかな」な〜んて、僕ってばセンスいいっしょ的なミニシアター絶対主義の田舎者が思わず食いついちゃうような、そんな映画なのである。なんていうと、ボロクソ言ってるみたいだけど、僕はそんな田舎者だと思われようが声を大にして言い切ってしまいたいのである。最近見た映画で一番面白かったのは『コーヒー&シガレッツ』だ!

そしてあわよくば、女の子と飲みに行って映画の話になった折には、この映画がいかに魅力的であるかをサブカル原理主義者の若者のごとく語ろうと思うのである。なんなら「じゃ、このあとウチで一緒にみる?」って言うくらいの厚かましさで語ってやるんだ。そして一緒に部屋でこの映画を見ながら言うのだ。「君がコーヒーで僕がシガレット。いいコンビになれると思うよ」って。あま〜〜い!

くだらない妄想は置いといて、こういう映画もっとあってもいいと思うのだ。そりゃ世の中こんな映画ばっかりだったらさすがにうんざりだけど、たまにはこういうまったりした無意味な映画もいいよね〜って感じの、まさしくコーヒーブレイク的な映画なのだ。

11個ある短編の中で一番のオススメはケイト・ブランシェットが1人2役のやつ。あれはパナイ。あれほど心を奪われた一人二役は映画史上他にない。きれいな大人の女とパンクな不良女の二役。しばらく一人二役だとは気づかないほど別人のようであった。そしてそのどちらの役も浮世離れした美人なので必見である。同一人物だから両方美人なのは当たり前だと思うかもしれないが、そういうことではなく、美人の質がまるで別なのだ。同じ人物から発せられてるとは思えないほど美人オーラの「質」が違うのだ。見ればわかる。ぶっとぶ。(どちらかというとパンクな方のケイトが僕は好みだ)。仕種とかおちゃらけた表情とかウィンクとか素敵過ぎて思わず落ちる。恋はするもんじゃない落ちるものだって感じ。この人あるよ。もってるね。とりわけ口が可愛いので、口に注目していただきたい。

自分もこの映画の登場人物になりきったつもりで、思わずコーヒーを飲みながら、そしていつも以上にタバコを吸いながら、この映画を見ていたのはココだけの話である。